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坂本龍馬の財宝が瀬戸内海に眠る!沈没船がいろは丸と特定できた理由

2012年9月8日「リアルスコープZ」という番組で瀬戸内海鞆の浦に眠る泥にまみれた沈没船が坂本竜馬とその財宝を載せた「いろは丸」だったという特集が放映されました。

物見高い人であればこれだけでも十分に興味を惹きつけられる内容なのですが、その沈没船が「いろは丸」であったと特定された理由が歴史考古学の真髄をついていて思わず膝を叩いてしまうものでした。

その証明となった理由は財宝でも船体でもなく、たったふたつ見つかったドアノブだったのです。






いろは丸事件


慶応3年(1867年)4月初旬に坂本龍馬は海援隊(亀山社中)を組織し、伊予大洲藩から「いろは丸」を借用し海運業に乗り出そうとしました。

同年4月19日、長崎港を出航し大阪に向けて物資を輸送中、同月23日午後11時頃、岡山県六島沖で紀州藩の軍艦「明光丸」と衝突しました。「明光丸」は鞆の津へ向けて「いろは丸」を曳航していましたが、宇治島南4kmの地点で「いろは丸」は沈没したのです。

大量の積み荷を失った坂本龍馬は、紀州藩から多額の損害賠償金を我が物とすることを考え、当時まだ馴染のなかった万国公法(現在でいうところの国際法)を駆使して7万両をせしめることに成功しました。

これが俗にいう「いろは丸事件」の荒筋です。

ただしこの事件、実は事故であって真実はミスを犯していた坂本龍馬が“事故隠し”のために大ばくちを打ったという裏話があるのですが、本題ではないのでここまでにしておきます。

いろは丸の海底発掘調査


さて鞆の浦の海底30mに眠る「いろは丸」ですが、過去に4度の調査が行われ、数々の調度品が引き上げられました。

番組内で紹介された発掘品をご紹介しましょう。
  • 側面が1/3ほど欠損してしまっているイギリス製のTカップ(時価100万円)
  • 坂本竜馬が履いていたといわれるブーツの右足と左足の踵部分の靴底(時価200万円)
    ※これはブーツ全体が見つかっていれば数千万円は下らいとする代物なのですが、何故坂本竜馬のブーツなのか分かったかというと27㎝という足のサイズからだそうです。
そして最後に登場したのがドアノブです。

実際に触ったゲストの高橋秀樹さんが「握り心地がよく優しい」との感想を持ったこのドアノブの時価は100万円でそれだけでも驚きなのですが、それ以上に驚かされたのがこの小さなペアのドアノブによってこの沈没船が「いろは丸」と判明したことでした。

実はこのドアノブ、握玉の先の丸座が金属製になっているのですが、そこの表面に「WHITEHOUSE’S PATENT BIRMINGHAM」と英文字が刻まれていたのです。

これはドアノブ、そしてこの船自体が英国バーミンガムのホワイトハウス社製のものだという確固たる証しでした。

当時広島沖鞆の浦で沈んだ英国製の船は「いろは丸」しかいなかったことからドアノブが決め手となって判明したわけだったのです。






いろは丸、その財宝と賠償金の顛末


ところで、「いろは丸」は本当に財宝を積んでいたのでしょうか?

坂本竜馬は武器3万両分や金塊4万両を積載していたと強引に主張していたらしいのですが実際は砂糖や米しか積んでいなかったというのが現在では通説となっています。

確かにたった160トンの小船に武器3万両分や金塊4万両も積めるわけないことは少し考えれば分かりますからね。

そして坂本竜馬が紀州藩よりせしめた賠償金ですが、実は本人はこの賠償金を見ることなく1867年12月10日夜にこの世を去ってしまっています。

ただ過去の文献によると賠償金の7万両(現代の価値で10億)は龍馬暗殺後に紀州藩より支払われたようなのでが、実際に誰の手に渡り以降どうなったかは全く分かっていないのです。

坂本龍馬と同郷だった岩崎弥太郎がその金を九十九商会(現在の三菱財閥)の創生費に充てたという説が様々な文献に見受けられますがこれも真偽の程は定かではありません。

日夏耿之介は
「ロマンチシズムは距離の文学で、その距離には空間の距離と時間の距離とがある。」
と芥川龍之介追悼文の冒頭で述べていますが、歴史考古学とは永遠に新しい解釈を齎してくれる、謎の宝石箱の様なロマンなのかもしれませんね。






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